インフルエンザの知識について、みなさんも重々お分かり頂けると思いますが、インフルエンザは予防をしているからといって感染しないわけでもありません。逆に何もしていなくても感染しない人もいます。それはたとえ予防接種をしていても同じです。
予防接種をしてからインフルエンザワクチンは接種後2週目から抗体が上昇し始め、1ヵ月でピークに達し、その効果は5ヵ月持続します。2回接種の場合は、2回目を4週後に追加接種した場合が最も抗体の上がりが良いので、2回目の接種は4週間後に受けるのがよいとされています。(接種間隔は2~4週とされていますが)
ここ通年、インフルエンザは3~4月ごろまでだらだらと流行を引きずります。
そのため、近年は2回接種の場合は10月中旬~11月上旬に1回目、11月中旬~12月上旬に2回目を、1回接種の場合は11月~12月上旬に接種をお勧めします。
インフルエンザワクチンは、インフルエンザウイルスのとげ(H鎖)を含む不活化ワクチンです。接種することにより、体内の血液中にインフルエンザウイルスへの迎撃用ミサイル=IgG抗体が作られます。
しかし、空気とともに体の中に進入してくるインフルエンザウイルスは、鼻や肺への通路(気管支)に直接もぐりこみ、増殖するため(インフルエンザの増殖参照)、現在のワクチンはインフルエンザウイルスの感染そのものを抑えこむ力は弱いと考えられています(ワクチンで誘導されるミサイル=IgG抗体はこれらの粘膜面には存在していないため)。
インフルエンザワクチンは、増殖したインフルエンザウイルスが全身に広がる時に、ミサイルのようにウイルスを破壊=不活化することで発病を抑えたり、症状を軽くしたりします。しかし、もしも一度もインフルエンザウイルスの進入を受けていないヒトの場合は、インフルエンザに対する備えが不十分で、ワクチンの誘導するミサイルもうまく作動しません(初めてのインフルエンザへの備えをプライミングといいます)。
そのため、インフルエンザウイルスの跳梁を許し、結果として発病してしまいます(これが、一度もインフルエンザにかかったことのない乳児での、ワクチンの効果が弱い理由の一つと考えられています)。
一方、過去にインフルエンザにかかったことのある人は、インフルエンザウイルスを免疫担当細胞が記憶しています。このため、ワクチンが接種されると十分に防御レベルが高まります。これをワクチンのブースター効果と呼び、このときはワクチンの効果が高まります。
 
また、現在のインフルエンザワクチンは、A型インフルエンザには十分な抗体の上昇が得られますが、B型インフルエンザに対する抗体の産生はあまり良くないようです。実際、2005年のB型インフルエンザの大流行の時は、実感としてあまりワクチンは有効ではありませんでした。
また、A型インフルエンザウイルスはとげ(H鎖)の組成を細かく変えて(ドリフト=連続変異)、ヒトの防御システムから逃れようとします。H3N2(香港型)でもシドニー型とパナマ型ではインフルエンザワクチンの効果に大きな違いが出てきます。この細かい変異に対応できたかどうかで、その年のワクチンの効果が決まってきます。